食べるとは何か?ズレから生まれるドロドロの人間関係『おいしいごはんが食べられますように』

コロモー
コロモー

職場のいざこざ、うんざりコロモー……

エビフライ
エビフライ

コロモーが落ち込んでいるのは珍しいですね。

エビフライ
エビフライ

何かあったんですか……?

コロモー
コロモー

実は、夕方ごろにゴミ出しをする当番なんだけど、

コロモー
コロモー

ゴミを出し終えた後で大量のゴミが発生して、二度手間になったんだよね……

エビフライ
エビフライ

(しょうもな……)

エビフライ
エビフライ

そのような些細なすれ違いからでも、会社の人間関係って簡単に崩れてしまうから大変ですよね。

コロモー
コロモー

そうなんだよー!!!

コロモー
コロモー

わざとじゃないって分かってはいるんだけど、

コロモー
コロモー

ゴミを出し終えた後で捨てに来る人もいて、心労極まりないよ~!

エビフライ
エビフライ

人それぞれが持つ常識があるように、コロモーはコロモーなりのポリシーを持っているようですね。

エビフライ
エビフライ

この内に秘めたるポリシー、どう大事にすれば良いの!?

エビフライ
エビフライ

そんな一冊「おいしいごはんが食べられますように」を今日は紹介します!

コロモー
コロモー

う、うおおおおお!!!?

エビフライ
エビフライ

あまりに現実的すぎる会社の人間関係のドロドロ。

エビフライ
エビフライ

必見です!

タイトル『おいしいごはんが食べられますように』
著者高瀬隼子
出版者講談社
ページ数・時間文庫版:160ページ
単行本:162ページ
Kindle:121ページ
Audible:4時間11分
発売日文庫版:2025年4月15日
単行本:2022年3月24日
Kindle:2025年4月15日
Audible:2022年10月28日
値段文庫版:660円(税込)
単行本:1200円(税込)
Kindle:660円(税込)
Audible(単品購入):2500円(税込)
Amazon文庫版単行本KindleAudible

あらすじ(ネタバレなし)

芦川は会社のみんなから守られる癒しキャラ。お菓子を作って会社に差し入れる度、色んな人から感謝される。一方の二谷は生きるために食べる、生きること以外の食事が億劫な彼は、芦川の差入れも例外ではなかった。ある日、芦川が苦手な押尾の「いじわるしませんか?と提案される。食を通じて、人間関係に小さな歪を生む芥川賞受賞作。

読んでみた感想

エビフライ
エビフライ

まず、この本を無理やりジャンルの枠組みにはめ込むとすれば、

エビフライ
エビフライ

強いて言うなら私は「サイコホラー」だと思います。

コロモー
コロモー

ふむふむ🍤

エビフライ
エビフライ

でも、この書籍の怖い点は「THE・サイコパス」みたいな怖さじゃなくて、

エビフライ
エビフライ

職場での嫌なドロドロを限りなくリアルに再現した、日常に潜む認識のズレから来る怖さがあります。

コロモー
コロモー

どういうこと……?

エビフライ
エビフライ

実際に経験したことはないけど、今後起こり得る可能性は十分にある。

エビフライ
エビフライ

そんな会社に対する、人間関係への根源的な恐怖がある書籍と思っています。

エビフライ
エビフライ

何と言っても細部までこだわりを感じる内容なんです。

コロモー
コロモー

確かに、ただ「お化けが出る」って言われるよりも、

コロモー
コロモー

「夕方に森の奥の秘密基地に行ってはいけない」とか「帰宅途中で後ろを振り返ると……」みたいな……

コロモー
コロモー

ディティールが深堀されていると“怖さ”って一気に増すよね😱

エビフライ
エビフライ

そうそう、そんな感じの怖さがあるんです!(笑)

エビフライ
エビフライ

この書籍には恋愛ミステリーに分類されるような要素もあります。

エビフライ
エビフライ

エビフライはそうした根源的恐怖も含めて、やっぱりサイコホラーなのかな?って思います。

“食”がテーマ、だけど美味しくはなさそう

エビフライ
エビフライ

この書籍のタイトルにもある通り、“食”が1つのテーマになっています。

コロモー
コロモー

「おいしいごはんが食べられますように」ってタイトルだしね!

コロモー
コロモー

主人公はおいしいごはんを食べられていないってこと?

エビフライ
エビフライ

話しの本質はそこにあるんです!

エビフライ
エビフライ

主人公が「美味しい」と発する場面はすべて、建前の言葉でしかありません。

エビフライ
エビフライ

主人公が一人で思いを馳せて食事をするとき、どんなに美味しそうなモノを食べても……

エビフライ
エビフライ

決して美味しそうには描かれないんです。

コロモー
コロモー

主人公も「生きるために食べる」みたいなことを言っていたよね!

エビフライ
エビフライ

そうなんです!

エビフライ
エビフライ

「生きるために食事する」「食事を楽しむ」の2つに分断されるなら、

エビフライ
エビフライ

おそらく「生きるために食事する」派は少数派でしょう。

コロモー
コロモー

コロモーもできるなら楽しんで食事したいよ~!

エビフライ
エビフライ

社会は基本的に多数派の方が強いですよね。

エビフライ
エビフライ

だから「食事を楽しむ」のが普通で、「生きるために食事する」人は気を使わなければいけない。

エビフライ
エビフライ

でも、それって本当に平等なんでしょうか……?

コロモー
コロモー

むむむ……!?

コロモー
コロモー

平等って難しいコロモー……

エビフライ
エビフライ

それも会社という大きな枠組みで見てしまえば、食事への気持ちなんて小さな問題にすぎません。

食事を主体に語られる人間関係のドロドロ

エビフライ
エビフライ

本題はここからですよ!

エビフライ
エビフライ

物語としてはあらすじの通り、

エビフライ
エビフライ

仕事ができないけど会社から守られる存在芦川さんへ意地悪をするお話しです。

コロモー
コロモー

仕事ができないのに、会社から守られる……

コロモー
コロモー

改めてそれだけ聞くと、会社として矛盾しているように思うけど、

コロモー
コロモー

それが正解のときもあるのが社会だから難しいよ~!

エビフライ
エビフライ

そうなんですよね……!

エビフライ
エビフライ

エビフライ的には、この部分が一番面白いポイントだと思ってます。

エビフライ
エビフライ

さっきの話しから引用すると、芦川さんは「食事を楽しむ派」の人を喜ばせるために努力を欠かしません。

エビフライ
エビフライ

一方でお仕事の方は疎か……

コロモー
コロモー

「生きるために食事する」人にとっては、ただ仕事のできない人って写るカモ……?

エビフライ
エビフライ

そう! そこのすれ違いが徐々に社内へ不和を生んでいくんです。

エビフライ
エビフライ

平等を望む人にとっては、お菓子の差し入れなんて作らず、しっかり人並みに仕事をしてほしいものです。

コロモー
コロモー

「意地悪」は平等を望むからこそ生まれた提案なのかな。

エビフライ
エビフライ

それもあると思いますね。

エビフライ
エビフライ

どの登場人物にも明確に悪!という点がないのが、妙にリアリティを感じる要因とも思います。

生活に欠かせない行為だからこそ……

コロモー
コロモー

美味しそうに語られる場面こそないものの、

コロモー
コロモー

一人や二人、はたまた大人数で食事をする場面っていうのはいっぱい出てくるよね。

コロモー
コロモー

食事を「生きるため」や「意地悪の種」として語られたこの書籍。

エビフライ
エビフライ

そうですね。

コロモー
コロモー

“食”がテーマなのに肝心の味は語られず、目的や使命で食事する……!

コロモー
コロモー

今までの常識が根底から間違っていた気分コロモーだ……😢

エビフライ
エビフライ

確かに、これほど”食”を前面に押し出していて、

エビフライ
エビフライ

かつ、味の感想が出てこないのも珍しいですよね。

エビフライ
エビフライ

あまりにも浅い意見ですが、さすが芥川賞受賞作!ってところでしょうか。

コロモー
コロモー

でも、実際そうだよ!

コロモー
コロモー

「食事をする」って行為を社内の人間関係のドロドロと紐づけて、

コロモー
コロモー

根本から「食事をする」目的について考えさせられる。

コロモー
コロモー

これからコロモーはどんな気持ちでご飯を食べればいいんだ……

エビフライ
エビフライ

何もそこまで重く捉えなくても……😯

主人公補正もある気がしてならない

エビフライ
エビフライ

もう一つ思うことがあって、

エビフライ
エビフライ

「主人公がそうだから」って理由で、自然と芦川さんが悪者になっているけど、

エビフライ
エビフライ

読者の私たちも含めて、多くは芦川さん側じゃないですか?

コロモー
コロモー

言われてみれば……?

エビフライ
エビフライ

現実でこういう会社にいたら、

エビフライ
エビフライ

芦川さんの差し入れってすごく嬉しいし、主人公らの行動って過度に意地悪く見えるかもしれません。

コロモー
コロモー

確かにそうかも……!?

コロモー
コロモー

これって、さっきの「食事の捉え方」にも近い考えだね!

エビフライ
エビフライ

多数派・少数派、という括りで見ればそうですね。

エビフライ
エビフライ

ここでは芦川さんをプラスに捉えてる多数派と、マイナスに見てる少数派。

エビフライ
エビフライ

主人公たちはもちろん、少数派ですね?

コロモー
コロモー

むむむ……?

エビフライ
エビフライ

もし現実なら芦川さん派、だけど主人公たちの意見もしっくりくるから主人公たちが正しい。

コロモー
コロモー

むむむ……!?

エビフライ
エビフライ

つまり、自分と相いれない意見でも飲んでしまいそうになる「主人公補正」があると思うんです。

コロモー
コロモー

確かに、脳死で主人公たちを肯定して、芦川さんが悪と決めつけていたけど、

コロモー
コロモー

現実でいたとして、客観的に見て悪なのは主人公側……?

コロモー
コロモー

でも、芦川さんは仕事ができないし、

コロモー
コロモー

でもでも、仕事ができないだけで、意地悪をして良い理由にもならないし……

コロモー
コロモー

コロモーはもう、良く分かりません……

エビフライ
エビフライ

多分、正解はないと思います。

エビフライ
エビフライ

見る視点・個人の裁量によって、どちらが悪と思うかは変わってくるからね。

コロモー
コロモー

なるほど……!?

エビフライ
エビフライ

その曖昧さをこの書籍では、「食事」と「人間関係」に着目して、ドロドロに煮込んだ感じです。

コロモー
コロモー

どう頑張っても美味しくなさそう……

エビフライ
エビフライ

それを味わい尽くせるのは読書家だけでしょうね(笑)

おわり

この記事のまとめ

  • “食”がテーマのサイコホラー!?
  • 食事をする目的とは
  • 美味しくなさそうな「ご飯本」
  • ドロドロに煮込んだ不和
  • 脆い職場の人間関係
エビフライ
エビフライ

「おいしいごはんが食べられますように」の読後直送、新鮮な感想をお届けしました。

コロモー
コロモー

結末まで読んでもハッピーエンドかバッドエンドか良く分からなかったコロモーだ!

コロモー
コロモー

これもまた多種多様な考え方ができる終わりカモね~……!

エビフライ
エビフライ

芥川賞受賞の話題作、ぜひ読んでみてください!